子どもの主体性とは?

主体性とは
「自分で決められることは自分で決め、行動すること」とあります。
つまり、子どもが自分で考えて何をするかを決め、意欲的に取り組むことです。
よく似た言葉で使われるのが「自主性」ですが、
自主性は決められたことを進んで行うことを言います。
社会に出た時に
自ら課題を発見し、行動し、よりよく問題を解決できる資質や能力を求められているのです。
日本の子ども達や若者は
「自分の考えをはっきりと相手に伝える」
「上手くいくかわからないことにも積極的に取り組む」
「自分の決断、意志に誇りを持っている」
の項目において先進国と比べても低いのが現状です。
では「主体性がある子ども」
とはどのような姿なのでしょうか?
・自分から「これで遊びたい!!」と自分で選び、積極的に行動する子
・友達の様子見て、それに加わる子
・自分は中に入らずにその様子を見ている子
実はこれら全ての行動が主体的とも言えるんです。
結局全ては自分の意思で行動を選んでいるからです。
積極的に率先することが主体的というわけではないのです。
大人の勝手な物差しで「この子は主体性がない」と決めつけず、その子の意思をしっかりと尊重していきたいですね。
これらを知った上で
主体性を育む保育てどのような保育なのでしょうか?
ある新人保育士が、「子どもの主体性を中心に考えて実践した保育」について紹介します。
年中クラス担任の新人保育士さくら先生の失敗体験記

さくら先生(21歳)
保育士1年目
- 失敗談❶子どもたちが自分達で活動を決めることで保育の「ねらい」が見えなくなった
- 失敗談❷子どもたちの主張を全て受け入れることで区切りがつけられなくなった
- 失敗談❸子どもの言葉をそのまま受け入れすぎて「頑張ること」や「乗り越えた達成感」を味わう経験がない保育になった
- 失敗談❹主張できない子の気持ちの尊重ができず、平等な保育ができなくなった
- 失敗談❺仲の良い友達とばかりの関わりになり、人間関係の幅を広げる機会がなかった
失敗談❶子どもたちが自分達で活動を決めることで保育の「ねらい」が見えなくなった

さくら先生は、子ども達がその日何をして過ごすのかを先生と子どもが相談をしながら決めるようにしました。
先生が「今日は〇〇をしましょう」ではなく、子ども達の「したいこと」を尊重しました。
みんな一緒に「やりたいこと」「やりたい遊び」が統一するわけはありません。
それぞれの主張を受け入れて、みんなそれぞれに遊び始め、固定された友達関係のやり取りのみとなってしまいました。
本当は「ねらい」を持って活動して成長や発達を促していきたいのに、子ども達の主張を受け入れたことにより「ただ遊んでいるだけ」になってしまった。
自由に遊ばせすぎて限度を超えてしまい、怪我や喧嘩が増えてしまった。
ただ、自由に遊ばせるのではなく、先生が様々なヒントを出したり選択肢を与えて、考える力や自主性が身につけていくことが大事です。
いくら自由と言ってもどこまでが自由にさせるのかなどは、しっかりと決めておかないと危険なことも多いです。「子どもたちを好きに遊ばせるだけ」にならないようにしなければいけません。
失敗談❷子どもたちの主張を全て受け入れることで区切りがつけられなくなった

・給食を早く食べ終わったら「ごちそうさま」の挨拶を待てずに「遊びたい」気持ちを受け入れて遊ばせてしまったことにより、その場で待つことができなくなってしまった。
・静かに先生の話を聞く時間なのに、話し出す子の言葉を拾いすぎて伝えなければいけないことをしっかりと伝えられなくなった。そのため、子ども達が保育者が集団に向けた話を聞けなくなってしまった。
保育参観や運動会、発表会など行事の時に緊張感がなく、保護者のもとへ自由に行ってしまったり、集中力に欠けてまとまらない発表になってしまった。
座っていないといけない時間、決まった活動の時間、自由にしていい時間など区切りがはっきりとつけず、子ども達のやりたいように進めてしまったことにより、メリハリを持った1日を過ごすことができなくなりました。
メリハリや区切りは、子どもにとっては経験しないとわからないことです。
保育園は生活する場所なので、ある程度時間に区切りはあります。どこまで自由を認めて良いのか…。
失敗談❸子どもの言葉をそのまま受け入れすぎて「頑張ること」や「乗り越えた達成感」を味わう経験がない保育になった

跳び箱やリレー、縄跳び、勉強などの活動に対して「やりたくない」と言う子どもがいた場合は、その気持ちを尊重してやりたくないことはさせなかったことにより、苦手なことがあれば簡単に避けることが当たり前になってしまった。
「苦手なこと」や「やったこともなく挑戦しない」など子ども達のマイナスな気持ちを、「やってみよう!」「やってみたい!」というプラスの気持ちに保育者が導いていくことが大事です。
なんでもかんでも子どもの言うことをそのまま受け入れると、経験不足になってしまいます。
行事の発表があると、練習を含めてみんなでやり抜く達成感や満足感を味わうことが出来ます。「やりたくない」「今は違うことがしたい」など一人ひとりの意見を聞きすぎるとその経験は絶対にできません。
失敗談❹主張できない子の気持ちの尊重ができず、平等な保育ができなくなった

「〇〇したい!」「〇〇より〇〇の方がいい!」など、自分の主張を言葉にする子達が目立つため、その子達の気持ちを受け入れていた結果、その後ろにいる積極的に主張できない子の気持ちを引き出したり感じ取ることが出来ていなかった。そのため、その子達は自分の気持ちが伝わる満足感や嬉しさなどを感じることができなかった。
積極的に言葉で自己主張出来る子だけが、気持ちや思いを受け入れてもらえるのは平等ではありませんよね。言葉にすることが苦手な子も心の中では様々なことを考えているし、「思い」もちゃんとあります。言葉に出来るように導いたり、表情で気持ちを読み取って代弁したりして寄り添わないといけません。
自分の気持ちがわかってもらえることは、とても嬉しいことです。
一人ひとり平等に接していきましょう。
子ども一人ひとりの意見を聞いたり、見つけることは難しいことです。
でも、声に出さない子もしっかりとした意見を持っているはずです。
失敗談❺仲の良い友達ばかりの関わりになり、取り残される子が特定されてしまった

保育者が決めたグループではなく、「好きなグループ」「好きな友達」「好きなペア」など、子ども達同士で決めて組ませた結果、自分から声を掛けられずに取り残されてしまう子がいてだいたい特定の子になってしまった。保育者が仲間に入り仲立ちをしながら解決に導いたが、その子にとってはグループ分けの時間が苦手となり、仲間意識などを高めることが出来なかった。
子どもが自分たちで遊びを考えたり、子ども同士でコミュニケーションをとったりすることが重要視されるのが自由保育です。
保育者は、環境作りや、上手く遊びに発展できるような援助をしながら見守ることが必要です。
自分で遊ぶ人を決めることができるので、自分で友達を誘ったり、時には友達とぶつかったりしながら、人間関係も学べます。
全て子ども任せにせず、保育者の適切な仲立ちや援助をしましょう。
経験してわかった「主体性を尊重した保育」をするために大切なこと3選

- ①ルールや約束、決まりを守れるようになること
- ②人との関わり方を知る
- ③いろんな経験をして達成感を味わう
①ルールや約束、決まりを守れるようになること

主体性と自由は違います。
子ども達が主体的に生活するためには
まずは必要最低限の
ルールや約束、決まり、人との関わり方を守れるようになっていなければなりません。
でないと、ただの自由。わがまま。自分勝手。に過ぎず、人を困らせる行動が多くなってしまいます。
大人なら限度がわかるかもしれません。
でも、子どもはわからないんです。
そのルールが身についた上で
主体性が育めるような働きかけをしていきましょう。
自由と言ってもどこまでが自由にさせるのかなどは、しっかりと決めておかないと危険なことも多いです。
生活の流れを知って、見通しを持って過ごせるようにする。
今やらなければいけないことなどがわかるようになります。
また、やっていないことで自分が困ることになります。
生活は流れていきますし、時間には限りがあるので最低限の「やるべきこと」を自分で理解して行動が出来るようになります。
話を聞くときは静かにして話している人の方を見る。
人の話を聞いていないと、大事なことがわからないままになってしまいます。
聞いていないことによって、怪我につながったり喧嘩になったりします。
大事なことをしっかりと聞いて理解することが、楽しく過ごすための第一歩です。
②人との関わり方を知る

「相手の気持ちを考える」「我慢をする」「相手を思って言葉にする」などを考えて行動することは大切です。
人と過ごす中で、全てが自分の主張が通って思い通りに進むことなんて滅多にありません。
様々な人間関係の中で起こるトラブルや楽しさなどの経験から、人との関わり方を学び、成長していきます。
好きな子とばかりだけではなく、いろんなグループの中で過ごしながら協力しあったり認め合ったりして仲間意識を高めていきます。
「貸して」「いいよ」「ありがとう」「ごめんね」など相手のことを考えたやり取りをする。
保育園の玩具や設備の数には限りがあります。譲ったり、待ったりして順番を守ったり我慢をすることが必要です。
自分1人で過ごしているわけではありません。
いろんな人と関わり、トラブルを経験しながら、人間関係の築き方を学びます。
様々な友達との関わりを深める。
指定されたグループ活動も人との関わり方を学び、「友達のいいところ」を新しく知ることが出来ます。
「この子にはこんなところがあったんだ!」と普段一緒に遊ばなくても、そんな一面を知ることで興味を持つようになり、友達の幅はぐーんと広がります!
③いろんな経験をして達成感を味わう

苦手なことも先生に手伝ってもらったり友達の真似をしたりして続けていくうちに、できるようになります。
苦手を克服する経験は大切ですし貴重ですよね。
今後の成長にも繋がりますし、何よりできなかったことができるようになることは、子どもにとって大きな自信になります。
子ども達のやりたいことだけをしていくのと、保育者が様々な活動を提供するのでは、経験値に大きな差が出てしまいますよね。
就学のことを考えても、何事も前向きに期待を持って取り組めるような気持ちを作っていきたいです。
運動会の跳び箱練習をしている時の話です。
得意な子は6段を軽々跳んで、苦手な子は4段も難しいという練習段階の時期。
苦手な子にとっては不安な気持ちがあったと思います。
でも、諦めずに練習を続けることで跳べるようになりました。
上手になるたびに自信を持った表情に変わっていき、一生懸命な姿を見せてくれました。
最後には誇らしげで、達成感を味わうこともできていました。
こんなふうに、何かを乗り越えたり、出来るようになる喜びを知ることは大事です!
最後に

自分の行動によっては良くも悪くも周りに影響するということを覚えていきます。
集団生活を過ごしているのですから、集団の流れやルールを覚えることは大切です。
自由に遊ばせているように見えて、保育者が様々なヒントを出したり選択肢を与え、考える力や自主性が身につけていきましょう。
「子どもたちを好きに遊ばせるだけ」にならないようにします。
好きな遊びをして過ごすのが当たり前になると、就学の際にギャップに困惑することも少なくありません。また、自分の好きに過ごせるということは、必然的に苦手なことを避けてしまうことになります。行動や興味など、とことん自分の好きを追求できることは良いですが、自分の好きなことだけに偏りがちになってしまう可能性も考えられます。
出来るだけ様々な経験をして成長に繋げていきたいですね!



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